コバルトの海の神輿2
2014/04/28 [宮城県石巻市雄勝]大須八幡神社岐阜からの帰り、僕は一度東京へ着いた。
東京で仲間を広い、すぐに出発。
明朝は八幡神社の祭礼だ。
東京につくと、体の調子がおかしい。
無理がたたり、少し熱があるようだ。
しかしそれは、きっと「手力雄のご加護」だろうと勝手に合点し僕は車中眠りに着いた。
僕は運転だけ交代してもらい、岐阜から約1000km離れた雄勝町大須の祭りへと向かった。
朝。僕はずっと寝ていたようだ。
祭りでは体力を残していられない、どんなに体力が充実していようとも最後まで使い果たしてしまう。
ぎりぎりまで疲れてしまっていた。
僕の白いバンは深夜北へ北へと走っていた。
日差しがとても眩しい。
ここは雄勝町大須。
一か月前祭りを約束した場所だ。
前日から仲間は到着していた。
今日も、神輿が上がる。
僕らは仲間と再会し、また今日神輿を担ぐ新しい仲間と出会う。
彼らは神輿の名のもとに集まってきた。
今日も新しい物語が始まる。
「手力雄のご加護」はまだ残っており普段より体温が高いようだが、今日の神輿は海に入るという。
冷たい海によって冷やせばきっと大丈夫、そんな気持ちでいた。
紹介頂いた岩間さんは神社にいた。
神社には担ぎ手が集まって来ており、氏子は神事を受けている。
雄勝町独特の、神楽師の衣装を模した衣装を羽織って神事を見守っていた。
辺りにいる同じ衣装を来た仲間たちと言葉を交わしながら神輿の上がる時を待っている。
今日は、大須の小学生も中学生も課外授業として参加している。
先生もみんな、一緒だ。
先生たちは心強い担ぎ手として僕らと握手を交わした。
大須の神輿は飾り綱がカラフルだ。
浜の通りには万国旗がかかっている。
映像で見た限りだが、大須の神輿も特殊な動きをする。
神輿は波を模している。
はじめ小さな波を表すように左右に静かに動かす。
掛け声は「よーさい、ちょーさい」だ。
それから、「わー」の声とともに前棒を高く放り投げ、神輿が走る。
それが、大波となる。
とても、難しそうだ。
神輿は階段を下り、鳥居をくぐる。
鳳凰が鳥居の下をくぐるとき、めいっぱい下げる瞬間、いつも故郷の神輿を思い出してしまう。
祖父が作った神輿も大きくて、いつも階段を下ろし鳥居をくぐるのが大変なのだ。
手を引きずりそうになりながら、慎重に重いものを運ぶ。
どこか客観的に見ると無駄なように見えるが、担ぎ手が見上げる眼差しは真剣だ。
階段を降りて路地に出ると、映像で見た動きが実践される。
神輿を肩から下ろして、左右にゆっくりと動かす。
まだ、担ぎ手の心はバラバラだ。
神輿が、練れていない。
動きも声もぎこちなく、「ワー」と叫んで持ち上げる動作も全くうまくいかない。
現地の人も怒りの声を上げている。
そんなこといっても、急には出来ない。
現場で覚える。
心がだんだんと一つになっていく、そんな一日の中での物語も神輿の魅力だ。
怒られながらも神輿は浜を目指していった。