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あんこうの夜

2013/12/02

今年もこの季節がやってきた。 あんこう。 見た目は非常に恐ろしい。 茨城県の名物だ。 舞台は桜川市真壁にある来楽庵。 山奥に佇むそば屋だ。 いつも二人三脚の島田さん夫婦二人が迎えてくれる。 実はこの二人と出会ったのも祭りの縁。 雄勝の祭りの話を聞き、昔太鼓をやっていたという奥さんが使っていた屋台を寄付してくれた。 そこから、僕と島田夫妻のご縁は始まっている。 旦那さんの島田栄さんは77歳。 77歳の今でもバイクを乗り回す、パワフルなおじいちゃんだ。 今回は来楽庵の忘年会であんこう鍋が食べたいと声がかかった。 冬の最高の楽しみを、山の中の素敵な隠れ家で。 あんこうは、東のあんこう西のふぐと言われる、冬の白身魚の横綱だ。 身は淡白であっさりしているが、あんこうの特徴はなんと言っても肝。「あん肝」だ。 あん肝は海のフォアグラと呼ばれる。 フォアグラは強制的に給仕したガチョウの肝臓のこと。 あん肝は深海魚であるあんこうが深海で肝に脂肪を蓄え、肥大させた肝臓だ。 居酒屋で食べるあん肝は、小さな肝を成形しなおして作ったものが多いが、9kgを超すあんこうの肝をそのまま蒸し上げ、冷やしてつくるあん肝は最高の贅沢だ。 今回はまだ走りのあんこうだったためそんなに大きくはなかったが、これから徐々に大きくなるあんこう。 冬が深まっていく楽しみだ。 あんこうは吊るして切る。 水分の多い魚なので、まな板の上だと非常に切りづらいのだ。 木の上から吊るし、皮をはぎ、食べる部分を取っていくと最後には口だけになる。 あんこうはほとんどの魚を丸呑みしてしまうが、非常にするどい歯を持っているので口は食べることが出来ない。 玄関に飾って、魔除けにすることもあるそうだ。   今回は、どぶ汁にする。 あんこう鍋は実は2種類ある。 そのうちのどぶ汁というのは漁師料理で、非常に豪快に作る。 船の上で一番貴重なものは真水。 どぶ汁は、水を使わないで作ることが出来る。 まず十分に脂が出るまで肝を炒める。 地大根、あんこう、白菜やネギはお好みで。 そこに日本酒を一升。 強火で一気に。   ガンガン煮出したら、味噌を溶き入れ、炒めた肝も溶かす。 最後にゆずを添えて。 これで完成。 非常に豊かな味だ。 小手先では引き出せない、自然の悦びが味わえる。 ジャズを聞きながら、たくさんのご縁に囲まれて最高の夜を過ごしました。 あんこうのシーズンは、はじまったばかり。